地域づくりインターン生 服部 加奈子
体験結果レポート

 服部 加奈子

  在籍校 : 岐阜大学地域科学部地域科学科  
派遣地域 : 愛知県豊根村
  派遣期間 : 平成12年8月7日~20日(14日間)  
豊根村の概要
愛知県の東北部、長野・静岡両県と境を接し、東西14.6km、南北15.6km、総面積121.13?。総面積の93%が山林に覆われた典型的な山村で、良質なヒノキ・スギの産地としても有名である。村内には3本の河川が谷合いを塗って流れ、水量も比較的豊富で多目的に利用されている。気候は年間平均気温12度、年間平均降雨量2,500mmと冷涼多雨で快適な夏、厳寒の冬と四季の変化に富んでいる。人口は現在約1,500人で、そのうち老齢人口比(65歳以上の割合)は35.9%と高い値を示している。茶臼山高原や温泉施設を初めとして豊富な自然を活用した観光施設整備が進み、アウトドアスポットが数多くある。また、念仏踊りや奥三河の地に伝わる花祭りなど、古くから伝えられている数々の祭りや文化財・伝説は大切に保護され、今日まで受け継がれていることも大きな特色だろう。
   
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体験内容
広域連携事業会議同行
愛知県庁地域振興課ヒアリング
愛知県足助町のインターン生訪問
トマト農家手伝い
岐阜県加子母村のインターン生視察に同行
県境町村見学
福祉施設「ポンタの里」で手伝い
茶臼山高原の施設手伝い
三沢地区盆踊り大会手伝い
組内の念仏踊り参加
長野県新野の盆踊り見学
特産物加工所手伝い
商工会電飾製作参加
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活動紹介
広域連携事業会議同行(新城市)
豊根村に行く途中に新城市があり、役場の担当の方も出席されるということで、いきなり広域連携事業会議に同席することになった。正式名称は「東三河地方拠点都市地域整備推進協議会」である。富山村、豊根村、稲武町、鳳来町、津具村、東栄町、新城市、豊川市、豊橋市の企画担当の方が出席されていた。本年度の各地域の人材還流事業(田舎暮らし体験ツアー、そば・野菜栽培体験、現時点でのUJIターンへの対応など)についての報告から、UJIターンの今後の受入態勢をどうするかということを中心に話し合われた。リラックスした雰囲気の中でも活発に発言が飛びかっていたのがとても印象に残っている。
愛知県庁地域振興課ヒアリング
午前中2時間ほど、もう一人のインターン生とともに地域振興課の方2人にお話を伺った。愛知の三河山間地域のこれまでの概況を説明してもらい、その後質疑応答の形になった。そのなかで、行政単位の再編や財政問題、県と市町村の今後のあり方など県としての立場を聞けたように思う。
愛知県足助町インターン生訪問
愛知県庁から豊根村へ帰る途中に足助町が位置していることから立ち寄ることになった。事前に連絡を入れてなかったが、B日程のインターンの方2人と受け入れ農家の方と少しだけ話をすることができた。
トマト農家手伝い
大玉トマト農家では傷んだ葉の除去、3分・4分のトマトの収穫を手伝った。この農家では大変気を使っていただき、私は「お客さん」になってしまった。実労働は2時間くらい。8/16日はプチトマトを栽培している農家で、朝5:30から収穫を始め、休憩もしつつ、機械でサイズを選果した後、目で裂傷がないかチェックしながら手作業で一個ずつパック詰めをした。その数300パック。翌日の朝JAの保冷車で隣村の選果場まで運ばれていった。
岐阜県加子母村
ポンタの里では、日毎に受け入れる地域がことなっており、13日には三沢地区、14日には坂宇場地区の方々と接することができた。ここで手伝いをさせて頂いた2日間で、私は介護知識の大切さを学んだ。私がしたことと言えば、掃除に配膳に洗濯物をたたむこと、それに来てくださった方々とお話をさせてもらったことだけ。職員の方の負担を増やすことはあっても減らせることは無かったように思える。それまでの私は実際に住む神奈川の高齢化率が全国の平均をすでに上回っている事は知っていたものの、私自身はその事を体感できず介護知識の重要さを認識していなかった。再訪の際には、介護の知識を身につけ少しでも職員の方の負担を減らせるようになっていたいものである。
県境町村見学
奥三河地域は名古屋や豊橋より長野や静岡の方を向いていると聞き、加子母村からの帰途、長野県の飯田市と浪合村に寄った。飯田市は車で流しただけではあるが、店舗や住宅が多く想像以上に発展していた。他に、美術館や飯田駅とその周辺も見て回った。他の近隣地域での地域づくりへの取り組みも見たかったので、浪合村では「トンキラ農園」と、建築の奇抜さで知られる浪合村小中学校と浪合村役場を見学した。
茶臼山高原の施設の手伝い
始めは2時間くらいリフト券売り場で受付をしながら、支配人から色々とお話を伺った。その後、10時過ぎから夕方までレストランへウェイトレスとして手伝いに入った。そこのアルバイトは高校生、夏休みで帰省している大学生など17~20才あたりの子が多かった。お盆休みの最中でとても忙しかったが、豊根村の若い世代の子たちと話す良い機会になった。
福祉施設「ポンタの里」で手伝い、介護老人保健施設見学
デイサービスセンターである「ポンタの里」の1日は、バスで迎えに行き、休憩、お風呂(温泉)、昼食、レクリエーション、おやつ、最後はバスで送るというものだ。私は掃除やお茶入れをしたり、お年寄りの話し相手になったりした。その横を職員の方が汗だくになって介助の必要な人を専用のお風呂に入れていた。2日とも送りのバスに同乗して、昼間は忙しくて聞けなかった職員の方やお年寄りの話を聞く場となった。
1日目のレクリエーションは一緒に体操やカラオケをした。2日目は、来所したお年寄り17名と職員の方とが近くの介護老人保健施設へ見学に行かれるというので同行した。老健の職員から簡単な入所費用の説明と施設の案内があった。
三沢地区盆踊り大会の手伝い
豊根村の三沢地区で住民の手で作られている盆踊り大会。地区内の住民の出資と寄付金をもとに、現役・OB消防団員が実行に移している。露店を出すことになっていて、たこ焼き・ヤキソバ・イカ焼きの準備に午後2時から加わった。この日は朝から雨が降ったり止んだりしており、ぬかるみでやぐらを建てることができないなど、総合的な判断で大会は去年に引き続いて中止になった。作らざるを得なかったたこ焼き等は、地区内の各戸に配った。
組内の念仏踊り、新野(長野県阿南町)の盆踊り
16日は送り盆の日で、組内の仏式の念仏踊りに始めから終わりまで参加した。
日付が変わる頃に居候先の家族の方と新野の盆踊りに行った。私たちはすぐに帰ったが、夜が明けるまで踊りつづけ夜明けと共に精霊を送り出すらしい。
特産物加工所手伝い
JAの婦人加工部のパートさんが通常3人のところを2人で働いていた。1日目の午前中は甘酢ラッキョウを袋詰にした。お昼に運ばれてきたくずトマトは量が普段の倍以上(800kg)もあったことから、そのあとはトマトケチャップ用のピューレを2日にわたり作った。トマトを煮る以外はほとんど手作業だった。手作業が多い分、食中毒にとても気を使った。
商工会電飾製作参加
今秋の秋祭りでネオンコンテストが企画されており、参加者を集めるPR用に有志らで1つ見本を作ろうという場に参加した。18日・19日両日とも夕方から始まり、夜9時過ぎまで作業をした。豊根村のマスコットであるポンタ君(タヌキ)をモデルに、木枠を作り番線を張り電飾を地道にくくり付けていった。皆の機動力で2日間のうちに出来上がった。
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体験の成果
"地域おこし"や"村おこし"と聞くと地域の人たちの必死な姿を思い浮かべ、冷めた目で見ていた部分がある。お金や人を呼び込む事が地域おこしなのだというイメージを持っていたからだ。また、山村は自然が一番という勝手な思いこみから、特産物センターや道の駅、新しい観光施設など、地域のイメージを新しいものでつくることに、人工物という理由で批判的であった。 豊根村について言えば、事前に頂いた村内の詳しい資料には森林面積が93%、農作物には夏秋トマト・しいたけ・わさびがあると紹介されていた。果たして7%のどこに人が住み、工業が立地して、農作物を育てるスペースがあるのか想像つかなかった。
 豊根村では毎日色々なところへ入ったが、どこでも快く受け入れてくれた。少なくとも私がお会いした人は、外からの来訪者にさほど抵抗感を持っておらず、逆にその懐の広さにこちらが収まるという感じがした。インターンで出向いた場所にもよるだろうが、会った人は圧倒的に40代以上の方たちが多い。農家や個人のお宅へ行っても20・30代の人はあまり見かけなかった。話す人の多くは実年齢よりも若く見える人が多かったからだろうか。高齢化の進んだ農村を実際に経験したのだと後で気付いた。
 豊根にいる間、ずっと気になっていて聞き逃したことがある。なぜ山奥の中に住み続けるのかということだ。その答えはこの2週間の中でつかめたとはいえないが、山間地の営みを発見して意識するようになったように思う。山村に暮らす人達の生活を目の当たりにして、"地域おこし"という言葉の意味が私の中で変わっていった。"地域をつくっていく"際、外に向けて発信している部分が表だが、裏には中に向けても発信しているものがある。その土地の人の生活をより良くし、元気にする働きが期待されている。言葉の意味のままであるが、今回現地に入って初めて気付かされた。そして、"地域づくり"は、そこに住む人々が受け入れて楽しめる要素が前提として必要であり、今後の地域活性化の活動には高齢者の協力も不可欠だろう。
 体験期間中、他地域のインターン生の活動を見る機会が2度あり、とても幸運に思っている。加子母村のインターン生と話すうちに、活動の場所・範囲の違いから色々な問いかけがあった。そのことで、私の豊根村でのそれまでの活動と予定されているものとを客観的に、かつ違う視点から考えるきっかけになった。このことから、希望者は他の受け入れ地域の様子を特派員のような形で訪問できるとおもしろいのではと思った。インターン事業後にメーリングリストや交歓会が開かれることと合わせて、体験期間中の交流も提案したい。
 2週間で豊根村のどこまで探ることができるのか、現地に来るまで心配だった。表面的な体験で観光客と大差ないまま終わってしまうのでは、という不安があったからだ。途中で何をしに来ているのか正直分からなくなったが、担当の方や居候先のご家族、出会った人たちの支えに救われた。そして、地域に入っていこうとする気持ちだけでなく、外から来たものとしての視点を忘れず動こうと思い直した。担当の方に色々なところへ顔を出させて頂き、始めは尻ごみしていたものの最後には慣れてしまった。伝統行事である念仏踊りを体験でき、土地の気風や性格を知る一助となって良かった。振り返ると、この報告書には書き切れないたくさんの事を体験し学ぶ事ができたように思う。こうした体験の機会を頂き本当に感謝している。
   
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地域への提案
滞在中、口にした高原野菜は私の地元では見かけない種もあり、味が濃く、そのおいしさに感動した。持ちかえった特産品のジャムやケチャップも家族に好評で、「通販で取り寄せたい」と言わせるほどであった。「湯ーらんどパルとよね」へお土産を見にいったとき、他の商品の中に埋もれてしまっているような、商品として置いてあった野菜のディスプレイが気になった。隣りにジャムが置いてあり、ちょうど品切れていたのかもしれないが、2種類しかなかった。個人的に大ファンな豊根の野菜やジャム類をもっと目立たせPRしたいと思った。特に桑の実ソースも桑に実がなるとは知らず、「桑=蚕=蛾」のイメージから味も想像つかなかった。物産品をどこにおいてあるのかも観光案内に載せ、レストランにメニューと共に置くといいなと思う。また、「湯ーらんどパルとよね」の温泉は立ち寄りだけで、宿泊施設がないのは惜しい気がする。
 豊根の施設で気付いた事を並べてみる。「グリーンステージ花の木」は名前に惹かれた。日陰の休憩所や売店はなく、合宿や研修の実習地という性格が強く、一見の観光客向けの施設ではないというのが残念である。同じ場所にある「ビジターセンター」は何をもって"ビジター"に発信しているのか、誰に向かっているのか分からなかった。研修に来た人が見る場合に限定しても、全体的に暗い上、説明書きがなく、ある品に関しては同じ物がいくつも並んでいた。道の駅(グリーンポート宮嶋)はレストランしかなく驚いた。パンフレットもほとんどなく、道の駅ということで特産物を買おうと立ち寄った人は落胆するだろう。また、道の駅にも温泉施設があると、時間に余裕がある人は入っていくのではないだろうか。
 「ポンタの里」で2日働いた中で、ポンタの里に来所する豊根村のお年寄りは元気な人が多いと感じた。家で農作業をしている人もいて、デイサービスで施設に来て知り合いと話を楽しんで帰るのもひとつの形だが、もったいないように思う。高齢化が進む農村だから、これからはさらにお年寄りが増えるわけで、やりがいのある「しごと」を持つことと、"地域づくり"につながることを絡みあわせてできる場が欲しい。そして、その場でお年寄りが新しい友人を作れるといいと思う。 
 ある人から地域づくりインターンや山村体験学習の体験後の報告が伝わってこないと耳にした。豊根村は外から人を入れることを前々から行い歴史がある。対象が人なので結果がすぐに出ない取組みではある。さらに、地域おこしを目指した活動に対して豊根の中でも考え方に温度差がある。それらも踏まえつつ、何らかの情報を継続して住民に伝えることが必要だろうと思った。
 以上、抽象的な表現の多い提案であり、この地域づくりインターンを始めとして、今後も豊根村と何らかの関わりを持っていく中で、具体的に提案していけたらと思う。
   
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