地域づくりインターン生 山田 卓
体験結果レポート

 山田 卓 (20歳)

  在籍校  : 立教大学観光学部  
派遣地域 : 宮崎県北方町
  派遣期間 : 2000年8月1日~8月13日(13日間)  
宮崎県北方町の概要
 宮崎県の北部にあり、全体に耕地が乏しく、中部以北は山岳地である。南北に長いため気候にもひらきがあり、東南部では温暖で積雪もまれであるが、北西部では積雪もあり霧氷や氷柱も見られる.人口は昭和30年代までは1万人を越していたが、年々過疎化が進んでおり平成7年では5342人にまで減少している。主要産業は農業と林業である。 またこの町では100年以上も前から地域区分に干支を用いている。例えば北方町役場は、宮崎県東臼杵郡北方町卯682。そのため北方町は昭和62年より干支を土地区分に使用している町の特性を生かして町づくりを行っている。
トップへ
体験内容
・ 歓迎式  ・町内視察および県内観光地視察
  ・ ホームステイ ・橋の日イベント準備・運営・片付け
  ・ 町内レジャー施設にて業務 ・ゴミ分別作業
  ・ 農業体験 ・林業体験
  ・ 花火大会と夏祭り準備・運営・片付け ・早朝野球
photo
トップへ
活動紹介
≪町内視察および県内観光地視察≫
・北方町内 ・・・鹿川渓谷、比叡山、よっちみろ屋、三椪小学校
・県内観光地・・・高千穂峡、天安河原、日之影温泉、綾の照葉大吊橋、シーガイア
≪橋の日イベント準備・運営・片付け≫
 北方町企画開発課によるイベント。8月4日の橋の日に町内保育園児が鯉の稚魚7000匹を川に放流する。準備では、イベントのポスター作り、会場にて横断幕、のぼり、看板、鯉用プールの設置。運営では、保育園児と一緒に鯉の稚魚をプールで捕まえ川に放流。片付けでは、横断幕、のぼり、看板、鯉用プールの片付け
photo
≪町内レジャー施設にて業務≫
 日本最大級の人工芝スキー場をはじめ、スーパースライダー、ゴーカート、レーザーガンゴルフ、パターゴルフ、宿泊施設などのレジャー施設が整備されていて、国内最大級の風力発電施設もあるETOランドで業務。業務内容は、ゴーカート乗り場で接客、宿泊施設のルーム・ベッドメイク、フロントにて接客、掃除
≪ゴミ分別作業≫
  ロードクリーン作戦(町内一斉ゴミ拾い)によって集められたゴミをリサイクルできるものとリサイクルできないものに手作業で分別
≪農業体験・林業体験≫・農業体験・・・椎茸の原木選び、椎茸の浸水見学、浸水後の椎茸を並べる
 
・農業体験・・・
椎茸の原木選び、椎茸の浸水見学、浸水後の椎茸を並べる
 
・林業体験・・・
杉の木が植林されている山へ行き、まだ若い杉の木の低い枝を切り落としたり、杉の木の周りに生えている草を刈る
  ≪花火大会準備・運営・片付け≫
 町制施行30周年を記念して、北方町商工会主催で10年ぶりの花火大会。準備では看板作り、テント張り、電球の取り付け、ゴミ箱用のポスター作り。運営ではイベントスケジュールのビラ配り、舞台の準備・片付け、危険区域前で見張り、ステージで今回の体験感想発表。片付けでは更衣室用のテントに敷いたシート片付け
トップへ
体験の成果
 車ですれ違えば頭を下げて挨拶をしてくれる町の人。当たり前のことであるが、都会に暮らしているとそうはいかない。マンションの隣に住む人とさえも挨拶をしたことがないというのが現状である。それにホームステイ先のあるお宅では、外出して家をあけるときでさえも窓を開けたままや玄関の鍵もかけないで外出するという。「何かあっても隣の家の人がいるから」と平然としている。都会の暮らしでは考えられないことである。都会では鍵をかけて外出するのは当然であり、その上家にいるときでさえ鍵をかけないと不安である。それに隣の人がどういう人か知らないということが多い。このように挨拶の件といい、外出時の鍵の件といい、この町は人と人との結びつきが強くコミュニティがしっかりしている町であると感じた。そしてそれ以上にこの町の人の温かさを感じた2週間でもあった。役場の方々をはじめ、ホームステイさせていただいた家の方々、商工会やETOランドの方々の温かいもてなし。こちらが体験させていただいているというのにもかかわらず、いろいろなことに気を配っていただいた。そこに損得という考えもなく、見知らぬ 土地を訪れた者を迎え入れ、そしてもてなしてくれる。それこそがホスピタリティの原点なのではないかと感じた。そしてそういった温かいもてなしを受け、この地が好きになり、そこからもう一度訪れてみたくなる気持ちが起きたのである。大学で観光学を学んでいるが、どこの観光地でもリピーターの確保というのが重要になってきている。そのリピーターを生み出すのは観光資源などのハード面 も重要であるが、それ以上にこのような温かいもてなしなどのソフト面が需要であるとこの体験を通 して深く感じた。
  そのほか、地方に住む人の生活の知恵に感心させられた2週間でもあった。縄の縛り方1つでも、ほどけないように工夫をして結んだり、水中眼鏡がくもるのを防ぐために“よもぎ”でくもり止めを作ったり、太い筆しかなかったらそれを分解して近くの山で竹をとってきてそれで小さな筆を作ったりする。こういった中に大量 生産・大量消費・大量廃棄の、現代の資源を無駄遣いしている時代では学ぶべきところがいくつもあった。役場の仕事の大変さにも驚かされた。地方の役場ということもあるが、通 常の業務に加え消防の仕事も受け持っていて、訓練や火事で忙しい日々を送っていた。しかし、そういったいろいろな仕事ができるということを考えると魅力的な仕事でもあると思う。また農林業も体験させていただいたが、外国からの輸入が自由化されて杉の木の値段も下がり、椎茸も厳しい状況であるらしい。数年前は専業農家で暮らしていけたのに今は会社に働きに行かないといけないというのだから厳しさが伝わってくる。杉の木の手入れはやはり広い範囲で大変な仕事であったが、それほどお金にはならないのが今の日本であり、農林業の厳しい現状を体で感じた気がする。
  以上のようにさまざまな体験をさせていただき、またそこから多くのことを得た気がする。成果 はまだ実感としてそれほどわいてこないが、この2週間の体験がこれからの人生に影響を与えてくれると思うし、本当に充実した2週間であったと思う。そして何よりこの町と、また役場の方々をはじめ、この町の人と出会えたことが今回のプログラムの大きな収穫であった。唯一心残りなのは、早朝野球で活躍できなかったことかな?また次回リベンジを。
トップへ
北方町への提案
 今後この町が活性化していくためには次の2つの言葉がキーワードになってくると思う。まず1つが「定住化」であり、もう1つが「交流」である。
  前者のほうは役場の方々からもよく話を聞くのだが、過疎化が進む市町村ではいかに若い世代の人に住んでもらい後継者不足の解消とともに町の活性化へつなげるかが重要な課題となっている。空気や水がきれいで町の人も親切なだけでは不十分であり、最低限の生活の便利さや何といっても働き場となるところが必要となってくる。その働き場となる会社の誘致や、町自ら働き場を作り出すことが定住化の第一歩であると思う。また住んでもらう場所にも工夫したい。干支を地域区分に使用している特性を生かし、定住してくれる人が自分の生まれ年の干支と同じ地域に住めば町から何らかの補助が出るようにしたら北方町に定住するきっかけにもなるのではないか。
  後者のほうはさまざまな波及効果の可能性があるので積極的に取り組んでほしい。高速道路が延岡市と熊本県御船町の間に計画されていて、北方町にもインターチェンジができるとのことで、交通 が便利になり人や物の流れも活発になり町の活性化に大きく寄与すると思う。しかしその反面 、今まで宿泊を伴っていた観光客が日帰りになる可能性もあり、宿泊施設や町全体でさらなる魅力作りに取り組んでほしい。アクセスの面 が改善されていく中で交流を図るにはやはり何らかの働きかけが必要になってくる。そこで宮崎県北方町を日本全国に、そして世界に知ってもらうために、町の特性である干支をキーワードに交流を図るべきだと思う。干支の町づくりがまだ始まったばかりのためもあるがまだ干支の町としてのアピールに欠けていると思う。もっと干支に関するものを町に取り入れて干支の町らしさを出してほしい。今のままでは集客力に欠けると思う。この町に来た時に自分は干支でいうと何という地区にいるのかというのが強く伝わってこない。街灯と道しるべのみがそれを伝えているだけであり、12地区をもっと区別 したらよいのではないか。将来的には町全体で干支のテーマパークのようにしたら面 白いと思う。またその年の干支に合わせて該当する地区でその干支にちなんだイベントを行うのも面 白いと思う。そのほか、全国からその年の干支生まれの人を集め、社会で起きていることを話し合ったり交流したりするものや、全国の干支を研究する学者の学会をこの町で行ったら良いのでは(通 称:干支サミット)。また国際交流として欧米だけでなく、干支のルーツを探り、中国など干支と深く関係のある地域との交流を図ることも考えてほしい。
  最後にこの町が誇る豊かな自然を守り続けてほしい。自然と生きるということはさまざまな自然災害とも闘わなくてはいけないが、都会ではもう失われかけているものであり、きれいな水、まぶしいくらいの緑などは地方の「光」でもあるから。
 
photo
トップへ
NEXT