地域づくりインターン生 毛須 知之
体験結果レポート

 毛須 知之

  在籍校 : 明治大学大学院 理工学研究科 建築学専攻1年
地域計画研究室
 
派遣地域 : 岩手県岩泉町
  派遣期間 : 平成13年7月23日~8月10日(19日間)  

岩泉町の概要
位置 北上山地の東部、下閉伊郡の北部に位置し東方は太平洋を望んでいる
人口 13587人(平成12年)
面積 992.90k㎡(本州随一の広さの町)
広さ 東西51㎞、南北41㎞、町の周辺は3市2町7村に隣接している。
ホームステイ先の家族とお世話になった人達
  岩泉町は、四囲標高1000m~1300mの高山に囲まれ地形は極めて険しく、林野率が高く、河川は小川の国境及び大川の釜津田より源を発して太平洋に注ぐ流路延長96kmの小本川、及び安家川、並びに峠の神山に源を発する摂待川の3川があり、この流域に沿って帯状の耕地を有し集落を形成している。
龍泉洞
昭和31年9月30日町村合併促進法に基づき岩泉町、大川村、安家村、小本村、有芸村の1町4ヶ村が合併し、翌32年4月1日に小川村を編入合併し、現在の岩泉町に至っている。 町の特色は三大鍾乳洞一つで世界一透明度を誇る龍泉洞がある。また牧歌的な雰囲気で人気のある早坂高原、茂師海岸ある。自然にも恵まれ、多くの野生動物が生息し、岩手県自然環境保全地域に指定されている櫃取湿原がある。
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体験内容
ふれあいらんど岩泉管理運営補助
三陸リアスシーライナーオープニングイベントスタッフ
手作り(ソーセージ)教室・養豚家の高橋さんと懇談
生涯学習係長と懇談・民俗資料運営補助
中学生会議傍聴                       
伊達町長との懇談
農作業体験(菊植え)・農家の穴田さんと懇談
エコミュージアム計画策定補助・広報作成
氷渡探検洞入洞
龍ちゃん祭り手伝い(大通り商店街) 
町内視察(櫃取湿原)案内人の西間さんと懇談
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活動内容の紹介
ふれあいらんど岩泉管理運営補助
・花の庭、ロックガーデンの草取り
・コテージ、オートキャンプ場の管理・運営補助
・施設のホームページに掲載する写真撮り
ふれあいらんど岩泉は今年国道455号線沿い道の駅いわいずみの南側にあり今年オープンしたばかりである。施設はオートキャンプ場、コテージのほか体験農園、400mトラック、野外ステージ、花の広場、ロックガーデンなどがある。これからの町のコア施設として考えられている場所である。
農作業体験(菊植え)・農家の穴田さんと懇談
菊植えの様子
東京から5年前にIターンした穴田さんは主に野菜、花作りを中心に行っている。Iターンした理由や現在行っている活動について話してくれた。Iターンした主な理由は、大学時代から農業実習で岩泉に数十回訪れ、農業を志した。そしてここでしか出来ない事を目指し、岩泉という土地を選んだようだ。現在、花を活かし「花卉研究会」を立ち上げ、道の駅にある体験工房で活動している。穴田さんは町の抱えている問題についていろいろ考えていた。具体的には、有芸という地区において5年間仮設の直売所を置き、定期的に直売を行っていた。そして現在、農家の組合、役場、公社が話し合い、道の駅の一部に直売所を置く計画し、実行している途中であった。直売所を出店するにあたって、農家・小売店・市場・地元の店の流通の形態と異なり、農家から直接直売所で売ることにより、問題が出てくるのではないかという心配をしていた。また直売所がブームで終わらないように持続可能な形にするために、10年、20年先を考えていく必要がある。また地元で作った物を地元で安く売り、農家の利益にもつながると考えているようであった。岩泉町は、耕作面積が少なく大量生産が出来ない場所であるので、量では他と勝負出来ない。多品質の作物を作る必要があると語ってくれた。
まちづくりに対して、問題点として挙げていた事は、人々がそれぞれ自分の立場だけで考えてしまう傾向があり、視野を広く持ち勉強し実践に活かす方法を考える必要があることであった。
最後にIターン者という立場で町の人に信頼されるためには、骨をうずめる覚悟を持つぐらいでないとなかなか周りの人に信頼されないようである。その中で穴田さんは真剣に岩泉の将来を考えながら、農業を行っている人であった。
三陸シーライナー・オープニングイベントスタッフ
夏の臨時列車として、1日1日往復7月28日~8月12日の期間、仙台~八戸をの区間を「三陸リアスシーライナー」が走っている。今回はその初日として岩泉町の宣伝活動として、宮古駅にて約4分程度の停車時間に車内で岩泉の特産物(龍泉洞の水、烏龍茶、コーヒー、どんぐりパン)を無料で乗車しているお客さんに配った。他に宮古市の職員の方も参加していた。
エコミュージアム計画策定補助・広報づくり
エコミュージアムの計画は平成12年度から始まったことである。昨年度は役場の各課の代表と一般の町民のメンバーでプロジェクトチームを発足し、1年間勉強会を行い、構想計画案を作成した。今年は構想計画案に従って実施計画を作成する予定だが、今回のインターン期間中には未だ出来てなかった。そこで未だこの計画が町民に浸透していないので、町の広報を通して町民に知ってもらう事で、広報づくりに参加した。
初日は昨年度行われた勉強会の時の様子、出来上がった構想計画案について役場の商工観光課の佐藤さんに説明をしてもらった。構想計画案の中で岩泉エコミュージアム憲章を作った。詳しい内容はここでは書かないが、まだはっきりとした形になっておらず、この計画事態をもっと検討していく必要があると考えている。その中で町民の人達にわかりやすく伝えるために2日目は町立の図書館に行き岩泉町について調べた。3日目は広報の原案を作成した。原稿の内容は①岩泉でエコミュージアムをする理由②岩泉のエコミュージアムとは③どう実践していくか④町の考えなどであった。作成する際、町の考えを踏まえて自分の意見を取り入れながら書いた。
私が感じたことは岩泉は自然が豊かで山・森・川・海などすべてがそろっている土地であることである。そして古くからある生活習慣や行事がたくさんあることに驚いた。その中で未だ自分達が気付いていない「宝物」があるかもしないので、これからどのように進んでいくか、楽しみである。そしてあまり急がずじっくり町全体の取り組みとして浸透していくことを期待している。エコミュージアムという言葉にとらわれず議論を重ね、その過程で良い意見がでてくればいいと感じた。
手作り教室(ソーセージ)・養豚家高橋さんと懇談
ソーセージ作りの様子
道の駅の一角にある体験工房で「手作りウインナーソーセージ」の教室に参加した。体験工房は他に陶芸・ドライフラワークラフト・アイスクリームが体験できる。教えていただいた方は養豚家の高橋さんの奥さんと穴田さんの奥さんであった。二人とも同じ大学出身で「モーとんふぁみりー」という会を作り、体験と定期的に会員の人達に手作りのハムやウインナーを提供している。また道の駅でも商品を販売している。このように養豚だけでなく、加工製品を販売することにより地域により密着した方法を見出していた。
体験の後、実際養豚をしている高橋信二郎さんのお宅に行き、話しを聞いた。高橋さんは兵庫県出身で13年前に岩泉に移住し養豚場を起業した経緯や苦労話をはじめ、畜産業の現状、雇用の場の確保への意欲、町の地域性についてか語ってくれた。地域性については「人情味が厚いが、依頼心が強く閉塞的な面がある」と指摘していた。町への提言として、「自分の故郷、自分自身に自信が持てるような教育が必要である。経験の積み重ねが大切で、強い信念、広い視野を持つこと。」を語ってくれた。
生涯学習係長と懇談・民俗資料展示補助
語り部による昔話の様子
岩泉町で現在の生涯学習に対する政策、施設の利用状況、問題点、これからの課題について話して頂いた。政策の一つとして町民大学ありその内容は行政が指定した行事に参加する事で単位を修得するものであった。しかし行政主体になりがちなのであまり上手くいってないようであった。また参加者も高齢者中心など偏りがあるようである。行政から独立して個々で積極的に活動する必要があるようである。また少子化、高齢化に伴い世代間の交流が薄くなってきているので、お祭りなど地域行事の参加も少なくなっているようである。これからは町民主体で行政が支援していく形を考えているようである。
町民会館の一角に民俗資料展示室がある。今回は「昔なむし展~民話と民具の対話~」という展示の手伝いをした。内容は地元に残っている昔話とその中に出てくる民具や関係資料の両方を展示すものであった。民具は実際残っていたものを収集したものばかりあった。展示の初日は展示室の中で人を集め、語り部の高橋さんが民話を語ってくれた。
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体験の成果・地域への提案
まちづくり
岩泉町は今年、「岩泉町まちづくり総合計画」を策定した。策定する際、一般の町民、民間、行政で構成した4つの分科会(生活環境、産業・経済、保険福祉・医療福祉、教育文化)で会議を行い、報告書を作成した。その意見を踏まえて「まちづくり総合計画」が完成したが、まだ完璧ではないので、これからも分科会を継続的に行ってもらいたいと思う。そして「まちづくり総合計画」を再検討していくことが重要である。たくさんの議論を重ねていくことで、現実味のある意見がでてくると思う。その意見が岩泉にあったまちづくりを進めるのに大事だち思う。またまちづくりは個々で頑張ってそれがまとまって、魅力のある岩泉ができると思う。
教育
・少数になった子供達を一人一人見る教育の形する。個性を活かした授業の取り組みをする。その上で学校だけでなく周辺の住民の協力も必要となる。
・岩泉の自然を活かした環境学習の実践。自然の中で得る事はたくさんあるので、自然を活かした新しい学習の場を作っていけるようにする。
・子供が将来、岩泉に戻って生活できるように町の良さを知るために、地元学を地域単位で協力し会い、積極的に各学校で行う。
文化
・町内に文化の核となる施設が少ないことが気になる。新しく作るだけでなく、既存の施設や空き店舗などを利用することを検討してもらいたい。
・文化に対して町の協力が得られてない所がある。文化より経済、産業が優先してしまうのでバランスをとりながら予算を増やす検討をしてもらう。そのためには町民の理解が必要である。
・個々で活動している人は多いが、まとまって活動することが少ない。これからはお互い協力し合い、活動の幅を広げることが必要となる。行政は活動している団体を把握し、定期的に集まり交流を深めていく。
産業
・エネルギーを循環するようなシステムを作ること。町内で使うエネルギーは町内で作りだすことができるようにする。(例、木材、堆肥、水力、風力、太陽など)
 ・林業、農業、工業などで積極的に頑張っている人達の支援体制を作る。
生活環境
・便利さだけを追求するだけでなく、これから町がどうあるべきかを考えながら環境を整備するようにする。
・自然と共生した整備を行う。
・下水道整備を町内全体にできるようにする。特に川の周辺の集落を重点的に。
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感想
3週間という短い期間であったが、非常に充実したと思う。役場の中では商工観光課でお世話になり、実際の役場の現場を見る事ができた。宿泊はホームステイで、始めは緊張してしまい不安になったが、時間が経つにつれ家族の暖かい心づかいに緊張もほぐれ、とてもリラックスできた。またホームステイができたことでいろいろな人に出会う機会に恵まれた。
 今回一番印象に残ったことはやはり「人との出会い」であった。レポートには書いていないが、昼間の役場の体験だけでなく、夜にはまちづくり協議会のメンバーの人達の懇談、大通り商店街の会合、岩泉線・小本線延長既成同盟会総会の参加など町の実情を知るいい機会でもあった。過疎化が進んでいく中でこれからどうしていきたいか町では様々な取り組みがなされているが、浸透してない部分もあった。しかしこれから町民とどう関わるかそれによって岩泉町は大きく変化できるだけの素材をもっている町だと思った。これからの行政は与えられた仕事をこなす事の他に個々でまちづくりについて提案し実行する力が求められると感じた。
 今回のインターンでは学ぶ事が多くあった。しかしこれで終わりにしてはいけないと思った。短い期間では町を知ったことにはならないし、具体的な提案も出来ないと感じた。今回たくさんの人と出会ったので、今後これを機会に岩泉町とはなんらかの形で関わりをもち続けていきたいと考えている。
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