地域づくりインターン生 綿貫 陽子
体験結果レポート

 綿貫 陽子

  在籍校 : 横浜商科大学商学部貿易・観光学科3年  
派遣地域 : 岩手県葛巻町
  派遣期間 : 平成13年8月31日~9月14日  

葛巻村の概要
昭和30年に岩手郡葛巻町、同江刈村、二戸郡田部村が合併、岩手県葛巻町となり現在に至る。古くから内陸と三陸海岸を結ぶ交通の要所であり、町の中心部は県都盛岡から北東に69キロの地点にある。人口は9,328人(平成12年現在)東北一の牧場であり、基幹産業は酪農、町には約12,000頭の牛がいる。「ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち」というキャッチフレーズを掲げており、文字通り平成11年には風力発電の事業により3台の風車が建設された。また、「他人への思いやり」「命の尊さ」などの「生きる力」を子どもたちに身につけさせる為にグリーンツーリズムや教育酪農ファームにも熱心に取り組んでいる。
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体験内容
育成牛管理作業
接客
搾乳作業
ワイン工場見学
椎茸管理作業
ミルクハウス
放牧監視
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活動内容の紹介
育成牛管理作業
育成牛の4頭ハッチ(4頭入る小屋のこと)の糞出しや、干し草などの餌を与えた。新しいハッチに石灰で作られている消毒を塗り、ゴミ拾い、土引きをして、新しく牛が入る準備をした。獣医さんが傷を治療する場面や、弱った牛に点滴する場面をも見ることが出来、牛も人間と同じ生き物だということを改めて感じた。また、獣医さんの重要さを知った。パートのおばさん達と作業した為、葛巻のことや牛のことを丁寧に教えていただけた。方言が聞き取りにくい部分も多々あったが、貴重な地元の方との交流であった。
接客
くずまき高原牧場の宿泊施設「くずまき交流館プラトー」でのお仕事。葛巻町森林組合さんのバーベキューでは、焼きそばやかも汁を作った。バーベキューには葛巻のワイン、牛乳、ヨーグルトや牛肉などが並べられていて、全て自分の町で造られたものでバーベキューが出来るとは素晴らしいことだと思った。葛巻の人はワインで乾杯するということに驚いた。
搾乳作業
朝5時から作業が始まり、乳牛の小屋掃除、糞落とし、餌あげそして生まれたての子牛にミルクをあげた。子牛同士触れると下痢が移ってしまうので、移らないように子牛は一頭ずつ違う小屋に入っていた。滞在中に1頭の子牛が生まれた。出産の瞬間は残念ながら見られなかったが、その子牛は何とも言えない神秘的なものを感じた。ホルスタインの牛からf1の牛が生まれるのは少し不思議に思えた。牛にも難産や流産があり、難産でなかなか産めず辛そうな牛もいたが、今回は理想的な自然出産であった。乳拭きや前搾り(機会で搾る前に乳が出やすくなるように予め手で約3回搾ること)も体験させていただけた。搾乳は私が頭に描いていた牧場の仕事で、牛に蹴られそうで怖かった部分もあったが、実際牛は凶暴でなく楽しくとても充実した仕事であった。搾り立ての牛乳は温かく、湯気が立っていて美味しそうだが、そのまま飲むとお腹を壊すので飲めなかった。
ワイン工場見学
くずまき高原牧場から車で約1時間のところに位置する「くずまきワイン」では、機会で葡萄から果実を搾って液体にする過程や、発酵過程、売店、そして山へ行き、山の葡萄などを見学させていただいた。発酵過程のものはジュースのようでとても美味しかった。売店では全てのワインが試飲出来た。そこで販売している「ワインソフト」は香りも良く、サッパリしておりとても美味しかった。
椎茸管理作業
椎茸の栽培されているビニールハウスで椎茸を穫ったり、大きさ別に仕分けしてパックした。椎茸は傷をつけないように丁寧に扱った。手間暇かけて作ったものなのに1パック約100円と驚くほど安かった。配達に「道の駅ほすなある」まで連れていっていただいた。そこではリンドウの花の大会が開催されており、その他綺麗な花が多くあって感動した。
ミルクハウス
洗瓶やマイナス20度の冷凍庫に入って、もなかのアイスクリームを製造した。冷凍庫の中は想像を遙かに越えて寒く、まつげが凍ってしまう程で、なかなか出来ない貴重な体験であった。瓶は2瓶一緒に機械で洗う。牛乳が底に少しでも残っているとかなり落ちにくく大変になる。それを知ってか、ミルクハウスに見学に来た小学校の生徒達は一度洗ってから返瓶してくれる学校もあり、一人1瓶ずつ、その行為が作業員にとってはとても有り難いものだと感じた。
放牧監視
放牧されている牛の頭数を数え、1頭ずつ異常がないかをチェックする。尾っぽを見るとすぐ異常がわかるようで熟練の技が必要に感じた。広い敷地に放牧されている牛はとても伸び伸びとしていて幸せそうであった。
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地域への提案
今回の研修は体験が中心であった為、残念であるがあまり地域のことは調査出来ず、データも残っていない。しかしいくつか感じたことがあるので報告したい。私が目や耳で見て感じたことなので誤解があるかもしれないが、多めに見て欲しい。

まず、「地域づくり委員会21」の方々からは、葛巻には「何が必要か」などと尋ねられたが、豊かな自然、牧場、美味しいワインや乳製品そして風車ともう十分観光対象となり得るものが葛巻には備わっていると思う。「ワイン、ミルク、風車」の他にも電灯のないところで見た星は最高であった。都会にあるような娯楽施設などを作ることは考えずに、今ある素晴らしい自然などを大切にしていって頂きたいと思った。
  * 全体的には情報発信が少ないように感じた。気軽に牧場体験などをさせていただけることを都市住民が知ればもっと観光客は増えるのではないか。都市圏に情報発信した方が観光客は増えると思うが、葛巻の方々から「牧場を本当に理解しようとしてくれる人に来て欲しい」と望む声をよく耳にしたので、葛巻はもしかしたら受け入れる観光客を選んでいるのかもしれない、それならば、口コミで観光客を増やす方が良いのかもしれないと感じた。しかし、もっと道の駅「ほすなある」の利用を考えるべきだと感じた。道の駅「ほすなある」を地元の人のみではなく初めて葛巻を訪れる観光者にも利用させる為に、わかりやすい看板を出し、葛巻の情報(特産物だけではなくパンフレットなど)をそこに盛り込んで置いてはどうだろうか。
  * グリーンツーリズムを地域に定着させる為には、廃校や廃屋を利用してグリーンツーリズム型の宿舎を作る必要があると感じた。廃校や廃屋の外観はあまり改造せず、内装を宿泊出来るようにしたらよいのではないかと思う。
  * 役場、株式会社葛巻町畜産開発公社ではグリーンツーリズムにかなり力を入れているように見られたが、住民との間に少し温度差があるように思われた。しかし、グリーンツーリズムの観光対象は牧場だけではなく、その地域の人であり、自然であり、その地域自体である。従って広報などを利用して地元の人にももっとグリーンツーリズムを浸透させ、町一体型で行う方が良いのではないか。
  * 町外から来た子供達の案内役などにお年寄りのボランティアガイドを置いたら良いのではないか。「命の大切さ」などはお年寄りに説明された方がより真実味を増すと思う。特に都市住民は普段あまりお年寄りの方と接する機会が少ないので「命の大切さ」を知ると共に「お年寄りの大切さ」をも学ぶことが出来ると考えられる。
  * 「ワイン・ミルク・エネルギーのまち」というキャッチフレーズをだしているが、観光対象を考えると牧場体験、風車は家族連れ、ワインは大人に限られてしまう。そこで、ワイン工場の下にあり、あまり活用されていない木炭博物館を活用して何か子供達が楽しめるものを作ったら良いのではないかと感じた。
  * 袖山高原の展望台にある山の説明の看板位置が低すぎる為、せっかくの風景が子供の目から見えなくなってしまうように思えた。少しずらした方が良いのではないだろうか。
体験で得た事
* まず、今回初めて過疎化が進んでいる町に滞在して、今まで過疎化とは暗いイメージでしかなかったが、葛巻は風力発電を始めたり、教育酪農ファームに力を入れたりと、とても元気な町で驚いた。葛巻のような町に率先してグリーンツーリズムを広めていって欲しいと思った。
  * グリーンツーリズムは今まで都市住民側の立場でしか考えていなかったが、今回葛巻町長の中村様や株式会社葛巻町畜産開発公社専務の鈴木様のお話をお伺いして、受け入れ側にはグリーンツーリズムを通して「命の大切さ」や「食品の大切さ」など、伝えたいことがあるという思いを初めて知った。そして、どこも似通った土地で都市のような開発をせずに、どのように地域の特色を出し、観光客に目を向けさせるかといった課題、受け入れ側の取り組みの大変さを知ることが出来た。
  * 今まで身近にいなかった牛に実際に触れて、牛の体温を感じ、体調を崩したり、子供を生んだり、本当に私たち人間と同じ生き物であることを改めて実感出来た。そして同じ生き物でも違うのは、牛は人間の為に育てられ、殺されと、牛の人生を考えるとなんとも切なく感じ、考えさせられるものが多くあった。今まで食していたものへの見方が変わり、農家の方の牛へかける手間や時間、愛情を考えると、それまで高いと感じていた牛乳や牛肉が安く感じるようになった。
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